キウイフルーツに関する
「よくある質問」
● キウイフルーツを食べると口にイガイガした違和感があります。アレルギーでしょうか? |
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口の中がイガイガするというだけでは、アレルギーとは限りません。もしもイガイガする刺激性だけで、他の症状がないようでしたら、アレルギーではない可能性が大きいと思われます。キウイフルーツやサルナシ果実を食べた時の口腔刺激性には、次の3つの原因が考えられます。 1.シュウ酸カルシウムの針状結晶(こちらやこちらを参照) 2.タンパク質分解酵素(アクチニジン) 3.クエン酸やキナ酸などの有機酸 これらが複雑にからみあって、刺激を生じていると考えられます。この中でも特に、シュウ酸カルシウムの影響が大きいと考えられています。このシュウ酸カルシウムの刺激性は、特にキウイフルーツをピューレーあるいはジュース状に砕いたり、ドライフルーツにすると強く感じられます。 |
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● キウイフルーツやベビーキウイ(サルナシ、こくわ)を食べると胃痛が起こります。なぜでしょうか? | |
このような症例は、論文等で報告されていないため、確信をもってお答えすることができません。ただ、可能性としては、キウイフルーツやベビーキウイ等に含まれるアクチニジン(タンパク質分解酵素)が、胃粘膜に悪影響を与えていることも考えられます。 |
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● キウイフルーツの酵素であるアクチニジンを配合したタブレット(グリコのブレオ)で舌がきれいになるという話がありますが、本当でしょうか? | |
おそらくある程度の効果はあると思います。論文(口腔衛生学会誌 56巻, 37ページ, 2006年)としても報告されています。また、私が生化学的な実験で試したところ、舌苔のタンパク質成分はキウイフルーツ果汁によって分解されることも確認されました(ホームページ掲載準備中)。タブレットをゆっくりと口中で溶かして、酵素が作用する時間を長くすることにより、効果が期待できると思います。バリバリ噛み砕いて、すぐに飲み込んでしまうような気の短い用い方では、ほとんど効果は期待できないと考えられます。なお、口の中でタンパク質分解酵素が作用するというと、少し怖いような気もしますが、ブレオ1錠に含まれているアクチニジンの量は、キウイフルーツ1個に含まれているアクチニジン量の10分の1程度であるため、一般には危険性はないものと思われます。 | |
● キウイフルーツを加熱すると、鮮やかな緑色が消えてしまいます。どうにかなりませんか? | |
結論を先に言うと、簡単にできる良い方法はありません。かなり困難です。キウイフルーツの緑色は、クロロフィルという色素に起因しています。このクロロフィルは酸性条件下で化学変化を起こし、くすんだオリーブ色に変化します。この化学変化は、加熱すると促進されます。キウイフルーツ果実は、クエン酸やキナ酸などの有機酸を豊富に含むため、pH
3.2〜3.8程度の強い酸性を示します。これを調理・加工のため加熱すると、ほんの数分でクロロフィルが化学変化を起こし、鮮やかな緑色は消えくすんだオリーブ色に変色します。きれいな緑色を保つためには、 1.なるべく果肉をこわさない 2.食品添加物用の水酸化ナトリウムなどで中性〜アルカリ性に調整する 3.加熱しない などの方法が考えられますが、どれも食品加工には適用しづらいため、現実的には良い方法がないといえます。 |
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● ハムとキウイフルーツとをいっしょにすると、ハムが溶けるというのは本当ですか? | |
本当に溶けます。キウイフルーツ果実には、タンパク質分解酵素であるアクチニジンが豊富に含まれていますので、これが食品中のタンパク質を分解し、その物性を著しく変化させます。ハムだけではなく、「かまぼこ」などでも、生のキウイフルーツ果肉と接触させたり、果汁を付けたりすると、表面からタンパク質が分解されます。この作用は、ある程度時間がかかりますので、合わせてすぐに食べるような場合には、全く問題になりません。ただし、お弁当に入れるなど、長時間接触するような条件では、相当激しい分解が起こりますので、注意が必要です。詳しくはこちらをご参照ください。 | |
● キウイフルーツは、なぜアクチニジンを多量に含んでいるのですか? | |
残念ながらわかっていません。アクチニジンに関する実験ではありませんが、植物中のタンパク質分解酵素を食べさせると、ある種の昆虫の成長が妨げられるという例が知られていますので、これから類推すると、昆虫による食害に対する防御因子として存在しているのかもしれません。今後の解明を待ちたいと思います。 | |
● キウイフルーツ果実の表面に毛があるのはなぜですか? | |
残念ながら、わかっていないと思います。同じキウイフルーツでも、ゼスプリ・ゴールド(ホート16A種)やレインボーレッドなどでは、軟毛をまばらに持っていたり、ほとんど毛(毛じ)がなかったりします。このことから考えると、もしかしたら毛には特に役割がないのかもしれません。 | |