食肉タンパク質に対するアクチニジンの影響


 主要な食肉タンパク質はミオシンアクチンである。 食肉タンパク質を抽出し、キウイフルーツ果汁(pH 3〜4)で処理すると、これらのタンパク質は著しい加水分解を受ける。 そのため、キウイフルーツは肉の消化を促進すると言われている。

 しかし、胃内のpHは強い酸性であることを考えると、実際にどれほど効果があるかについては、検討の余地がある.アクチニジンは、pH 3.0では筋原線維タンパク質を強力に分解するが、pH 2.0 では速やかに失活し、その働きを失う. 胃内で有効に作用するかどうかは、微妙なところである。
 ただし、食後は胃内のpHが3〜4程度まで上昇し、その状態が数十分持続することを考慮すると、キウイフルーツを食事と共に、あるいは食後すぐに摂取することにより、かなりの消化促進効果が期待されるであろう。
 胃内においてタンパク質の生理的消化に与る消化酵素はペプシンであるが、これは最適pHが2であり、pH 4ではあまり効果を発揮しない。以下はあくまでも推測であるが、食肉などのタンパク質性食品とキウイフルーツをいっしょに摂取すると、胃内のpHが高く保たれる最初の数十分間は、アクチニジンがタンパク質の加水分解を促進して消化を助け、胃酸によって胃内のpHが1.5〜2まで低下した後は、ペプシンが消化を促進するということも考えられる。