キウイフルーツは樹上では熟しにくいため、収穫後にエチレンガスによって追熟をさせます。 収穫直後の未熟な果実はジャガイモのように硬く、また白いデンプン顆粒を豊富に含むため、下の写真(左)のように、果肉色が白っぽく見えます。 食べてみると、非常にすっぱく、また繊維がゴソゴソして、飲み込むことさえ困難な状態です。 この未熟果を追熟させると、デンプンが分解し、きれいな緑色に変わります(写真右)。 これに伴い糖度が上昇し、甘味を増します。 以下の写真は、エルムウッドおよびブルーノの例です。




 ブルーノ未熟果の果肉を薄く切って顕微鏡で観察すると、細胞内に多量のデンプン顆粒を見ることができます。 キウイのデンプン顆粒は、ジャガイモに比べるとかなり小型です。 少し緑色に見える顆粒は葉緑体の集合体です。 デンプンと葉緑体は少し見分けにくいのですが、蛍光顕微鏡で紫外線を照射してみると、クロロフィルに起因する蛍光のため葉緑体は赤く光って見えるので、容易に区別ができます。


しかし追熟させすぎて過熟になると、今度はクロロフィルの分解により、果肉の色が悪くなりますので、キウイフルーツを食べるときには、この熟度の判定が大変大事な要因となります。 以下にヘイワードの例を示します。


熟した果実は輸送に耐えず、また過熟になると商品価値がなくなるため、スーパーなどでは、やや未熟気味の果実を販売していることが多いようです。 家庭で追熟させるには、乾燥を防ぐためポリ袋に入れ、室温に置いておくだけで大丈夫です。 ただし品種によっては、追熟時の室温が高すぎると軟腐症が出やすくなりますので、できれば20℃を超えない方がよいそうです。 急ぐ場合は、リンゴやバナナをいっしょに袋に入れると、これらがエチレンを発生するので、追熟が進むようです。 表面を指で押してみて、少しへこむくらいの軟らかさになったら、冷蔵庫で冷やして召し上がって下さい。